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私がオメガ・スピードマスターをしている理由スピードマスター

パソコン好き好き、デジタルおたくである私が、あえて機械式の手巻きアナログ時計をしているのは、単に流行やブランド志向と言うだけではない。その理由は、「やはり人間の思考というのはデジタルでは語り尽くせない、アナログな部分を大切にしなければならない」と思っているからである。
たしかにデジタル文化はこれからの住み良い暮らしを提供してくれるに違いないし、この不況もIT(もちろん本物だけですが)が改善してくれるものと期待しているが、このままデジタルが世の中に浸透し、どんどん便利になっていくことには、ある意味で抵抗感がある。

それは、デジタル社会がもたらす便利さが、人間性の喪失や様々な弊害を生み出しているように思えるからである。たとえば、今日の少年犯罪などが多発しているのは、便利さと答えだけを性急に追求する世相や受験中心の教育に問題があると、私は密かに思っている。昨今のゲーム文化のなかで、死が簡単に取り扱われているのも、少年たちが死にたいするリアリティをなくしているからではないのであろうか。
ましてやデジタル社会が進んでどんどん便利になれば、物事に対するありがたみや産みの苦しみというものが全然理解されなくなる。電子マネーなどになってお金が形をなくすようなことになれば、お金のありがたさや存在感も軽く扱われるように思えてならない。

そんな思いがあって、私はデジタル文化の隆盛を一方ではわくわくしながら見つめながらも、いつもそのことに対する戒めとして、左腕にアナログ時計をしているのである。毎日、出かける前にゼンマイを巻かなければならない。こんな不便なことは一般の人は嫌うであろう。でも、時計が初めて世に出た時代はそうだっただろうか?みんなありがたく、ネジを巻いたのではないだろうか。もちろんそんなことをときどき考えながら、私はこの不便さのなかにプリミティブな満足感を感じている。

さらに、オメガ・スピードマスターは、最先端シーンでもしっかりとその存在感を誇示できる、立派なエピソードを持っている。

アポロ13号の奇跡の生還を支えた功績

有名な話なのでご存じの方も多いと思うが…アポロ13号が無事に生還できたのも、この時計があったからである。宇宙空間でほとんどのハイテク計器が故障し、瀕死状態になってしまったアポロ13号が無事に生還できたのも、このアナログ時計が正確に第2エンジンの噴射すべき「運命の14秒」を刻んでくれたからである。(映画「アポロ13号」ではケビン・ベーコンがその時計をカウントする役を演じているので、機会があれば見てほしい)。無重力な宇宙空間では自動巻は使えない、クオーツタイプなどの電池式タイプは液漏れなどがあるので安心できない、だから宇宙飛行士たちはこの時計を最後の保険としてみんな携帯しながら宇宙に飛び出していくのである。(この時計の裏蓋には、NASA公認、はじめて月に行った時計、と刻印してある。)

(余談)もう一つの愛着ポイント

それと、私がこの時計に愛着があるのは、私と同い年(1957年生まれ)だからである。同い年の時計が(少し形を変えているとはいえ)、いまも脈々と受け継がれているのは、なんか嬉しい。余談ではあるが、よくTVの俳優たちがしているのを見ると、ミーハーな私としてはうれしい。たとえば私の好きなアメリカのTVドラマ「ミレニアム」の主人公であるフランク・ブラック(ランス・ヘンリクセン)がドラマの中でこの時計をしている。(もちろんマニアにしかわからないことだが)